中部大学中部高等学術研究所 Chubu Institute for Advanced Studies

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中部大学中部高等学術研究所 Chubu Institute for Advanced Studies

中部高等学術研究所第2代所長の武者小路公秀先生が、2022年5月23日に愛知県春日井市にてご逝去されました(享年92歳)。

武者小路先生は、ベルギー・ブリュッセル生まれ。学習院大学を卒業後には、フランスで学び、1976年から1982年まで国連大学副学長を務めました。国連大学退任後は、明治学院大学、フェリス女学院大学で教鞭をとった後に中部大学に着任されました。国際政治学、国際関係論、平和研究の第一人者として活躍されたほか、反差別運動や人権保護運動にご尽力されました。

2001年には、加藤秀俊初代所長から引き継いで、第2代中部高等学術研究所長に就任しました。中部高等学術研究所では、「人間の安全保障(Human Security)」および「持続可能な開発に関する教育(ESD: Education for Sustainable Development)」に関わる研究と実践を進めてこられました。

人間の安全保障研究では、後に、中部大学に人間安全保障研究センターを設置して研究を深めるとともに、2011年には、人間の安全保障学会の初代会長に就任されました。同研究は、その後も、中部高等学術研究所国際GISセンターの共同利用・共同研究の課題の一つとして、SDGsとの関連の中で研究が発展しています。

 ESD研究では、国連大学認定ESD地域拠点(RCE)のひとつ中部ESD拠点(RCE Chubu)の設立に尽力され、産官学民の協働によるネットワークづくりに貢献されました。中部ESD拠点協議会では、運営委員として、2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)や2014年のESDユネスコ世界会議へのインプット活動を展開しました。

 武者小路先生は、つねに「対話」を研究と活動の基本に据え、社会的弱者の幸福や社会の平和の実現に向けて行動してこられました。武者小路先生の遺志を継ぎ、持続可能な社会づくりに資する研究をさらに推し進める所存です。中部高等学術研究所の所員一同、心よりご冥福をお祈り申し上げます。